MiYO ORGANIC代表の山本美代です。前回の西発哺温泉様に続き、今回はPICNIC株式会社の代表 村山辰徳様(通称:ムーポンさん)にお話を伺います。
実は、2020年のMiYO ORGANIC立ち上げ時、一番最初のパッケージデザインを手がけてくださったのがムーポンさんなんです!
現在は那須塩原へ移住し、自然と隣り合わせの環境でデザイン活動を行うムーポンさんに、当時の制作秘話やデザインに対するこだわり、そして「暮らしと仕事」のあり方についてお聞きしました。

那須塩原で実践する「暮らしと仕事」が溶け合うライフスタイル
ミヨオーガニック代表 山本美代(以下、MiYO):ムーポンさん、本日はよろしくお願いいたします!まずはPICNIC株式会社について教えていただけますか?
PICNIC株式会社代表 村山辰徳様(以下、ムーポン):PICNIC株式会社は、那須塩原市で夫婦で営んでいるデザイン会社です。僕がデザインを担当し、妻が言葉と編集を行って、役割分担をしています。
子どもや動物たちと暮らす中で、自然環境に身を置くことで得られる学びがあると思い、実験的に東京から移住してきました。
MiYO:都会から自然の中へ移住したことで、デザインに対する向き合い方に変化はありましたか?
ムーポン:東京にいた頃は、各業界のトップを目指し、競争の中で生産性や効率を求められる部分がありました。しかし、子どもや動物と暮らすことを選んだ以上、仕事と生活を切り離して考えることはできなかったんです。
MiYO:仕事と生活を切り離さない、というのは具体的にどのような感覚なのでしょうか?
ムーポン:江戸時代くらいまで、働く理由って「生きていくため、ご飯を食べるため」でしたよね。その考えに非常に近くて、暮らしの中に「働く」という要素が含まれているだけでしかないんです。夜遅くまで働いてクオリティを上げるよりも、暮らしに密接に関わったデザインをしていくことで、結果的にデザインの質も上がっていくことに興味があります。
MiYO:暮らしの延長線上にデザインがあるのですね。
MiYO ORGANICとの歩みとパッケージデザインの秘話
MiYO:私たちMiYO ORGANICが立ち上がった際も、ムーポンさんにはパッケージデザインで大変お世話になりました。当時のことは覚えていますか?
ムーポン:もちろんです。ただ、当時は環境配慮に全く興味がなかったんですよ(笑)。地球に優しい歯ブラシを作るお姉さんなんだ、くらいの認識で。でも、そこからMiYOさんの影響をめちゃくちゃ受けて、移住に至った部分もあると思います。
MiYO:そう言っていただけて嬉しいです!当時は「プラスチックではなく紙のパッケージにするため、中身が見えない」という大きな課題がありましたよね。
ムーポン:ええ。ブランド立ち上げの最初のステージとして、世の中に知ってもらうための「キャッチーさ」や「掴み」が必要だと考えました。そこで、歯ブラシのイラストをそのままパッケージのグラフィックにする手法を取りました。当時は他社であまりやっていなかったので、圧倒的に目立つし、キャラクター性を持たせられると考えたんです。色も、ブランドを尖らせるより「誰でも手に取りやすい、受け入れやすい色」を選びました。
MiYO:あのデザインのおかげで中身が直感的に伝わり、海外に持っていった際も非常に高く評価されました。
デザインへのこだわりとクライアントとの関係性
MiYO:アメニティのデザインをする際、ムーポンさんが特に意識していることは何ですか?
ムーポン:アメニティは「半径1m以内にあるもの」なので、ずっとそばにあっても飽きないこと、暮らしを邪魔しないことが重要です。また、デザインの力によって、なんでもない歯ブラシや綿棒が「ちょっと素敵に見える」ように、影のデザインなどで見せ方を工夫することを心がけています。
MiYO:魔法のように素敵になりますよね。ムーポンさんとして、クライアントとはどのように関わっていきたいとお考えですか?
ムーポン:僕たちはデザイナーとして自分のやりたいことだけを押し付けるのではなく、クライアントと一緒に作り上げていく「ピクニックするような感覚」を得意としています。プロとして世の中にふさわしい着地点へ導く責任を持ちながら、関係性を築くことを一番大切にしています。目の前のお客さんの思いを丁寧に形にし、消費されて終わるデザインではなく、長く愛され、後世に繋いでいけるものを作りたいですね。
MiYO:私たちの拙い言葉も素敵なデザインに翻訳・昇華してくださるので、本当に心強いです。お話を聞いていると、日々の積み重ねを大切にされているのがわかります。
地域に根ざした活動とこれからの展望
MiYO:お子さんたちがいらっしゃる中での働き方についても教えていただけますか?
ムーポン:以前は時間で区切って仕事と生活をタスク的に分けていたんですが、それだと余白がなくなってしまうことに気づいたんです。今は仕事も子育ても「自分たちの好きなこと」として全体で捉え、あまり分けすぎずにやっています。
MiYO:境目がない方が心地よいのですね。
ムーポン:はい。昔の人が畑に子どもを連れて行っていたように、仕事場に子どもがいることで場が和むなど、良い影響がたくさんあります。子ども自身も仕事に「混ざれている喜び」があるようで、実際に子どもが描いた絵をCDジャケットに採用したこともあるんですよ。そんな一体感が、お互いや社会にとっても良い影響を及ぼすのではないかと模索しています。
MiYO:仕事と子育ての境目をなくし、自然体で日々を積み重ねていく姿が本当に素敵です。これからも長くご一緒させていただけたら嬉しいです。本日はありがとうございました!
【企業情報】PICNIC株式会社
2021年に夫婦で那須塩原市に移住し、デザイン会社のPICNIC株式会社を設立。道の駅「明治の森・黒磯」の館内デザインや商品デザインを手掛ける等、那須エリアでのデザインの仕事も開始。自然を活かし・共生する表現を目指し、地域ならではの農産物を画材として使用するなど、環境に配慮したデザイン活動を行う。
村山 辰徳(むらやま たつのり)さん:グラフィックデザイナー/アートディレクター
村山 愛那(むらやま あいな)さん:プロデューサー、ライター/編集者
〈PICNIC株式会社Instagram〉